2017年3月29日水曜日

WGCマッチプレーから見たゴルフゲームの本質

ゴルフトーナメントに於いて、アメリカのPGAツアーが世界最大規模であり
世界をリードするゴルフ市場であることは揺るぎない。
今やゴルフトーナメントはショービジネス化して、ギャラリーやメディアは
視聴者を引き付ける魅力的なマネージメントを模索する。


スポーツ競技を見る側の視点で考えた場合、競技時間のボーダーライン
は2時間と言われる。
世界的な競技であるフットボール、アメリカで一番視聴されている
アメフトでも、野球でも競技時間は2時間が目安となる。
そこを考えれば、ゴルフの競技時間は長すぎる。
R&A、USGAはその辺りも考え、スロープレーの撲滅に躍起となる。
移動して観戦できるトーナメント会場は、様々な趣向を凝らしているが
テレビなどのメディアを通じて視聴するには、ゴルフのプレー時間は長いだろう。
日本のメディアは、メジャー競技でない限りトーナメントは録画で2時間
以内の場合が殆どである。
この方法は、トーナメントフリークには大いに不満で見る気にはならない。
色々と大人の事情で仕方がないが、そもそものゴルフ競技方式にも
トーナメントの場合、一考の余地があるだろう。

ゴルフゲームのフォーマットは色々あり、現在のトーナメントで
主流となっているのは72ホールによるストローク方式だが、今後その
近代から当たり前となってきた方式が変わるかもしれない。
今年開催されたヨーロピアンツアーのWORLDスーパー6は斬新的であった。
マッチプレーによる方式は団体戦では用いられるが、個人戦としては
消滅していき、ワールドツアーでは今回のWGCが残っているだけである。
アマチュア競技でも日本アマは2016年から72ホールのストローク方式
に変更してしまった。
全英アマにしても全米アマにしても2日間ストローク、準決勝、決勝では
マッチプレーを貫いている。
この変更は非常に残念な事で、世界的なプレーヤーを輩出するには
競技者として強くする目的として、マッチプレーは欠かせない。
今回のWGCマッチプレーも時代を反映して、フォーマットを変更した。
初戦からトーナメントにするより選手にとっても運営側にとっても
メリットがあると感じた。
見ていて面白いのは、断然マッチプレーである。
今回は格闘技的な、WGCマッチプレーでの決勝で戦った選手を
取り上げてスイングの違いを考察する。

 
D.ジョンソン選手&J.ラーム選手

以前にも取り上げたが、決勝で戦ったこの両選手はスイング動作以外にも
対照的なゴルフを展開していた。
ゴルフのゲームプランは、自身の飛球方向に大きく関わる。
ジョンソン選手はフェード系で、ラーム選手はドロー系。
得意とする持ち球で、ティグラウンドでの立ち位置が変わる。
当然ホールロケーションでイメージは変わるので、決めつけることは
出来ないが、ジョンソン選手はティマーカーの右側、ラーム選手は
左側を使うことが多かった。
この両選手のスイング動作を見ると、違いがはっきりと見て取れる。
両選手に共通する部分は、左手を甲側に屈曲させる動き。
その他の主要な部分は、全く違うと言えるだろう。

打撃角度で考察すれば、バックスイングの切り返しでのグリップ位置が
高くなって、フィニッシュでの手の位置が低くなればインパクトでは
クラブヘッドが鋭角な角度で、ボールに当たりやすくなる。
そうすれば、ジョンソン選手のようにスライス系の飛球になりやすい。
一般ゴルファーに多い動作の特徴で、バックスイングの手の動きが大きく
なり、オーバースイングによってスライスとなるパターン。
これを防ぐ方法として、左の手を甲側に屈曲させる指導が一般的。

一般ゴルファーとジョンソン選手と共通する動きとも言えるが
ジョンソン選手の動作を見ると、彼は肩回りの関節が柔らかいので
あの高さまで上げることが出来るのと、グリップを高く上げても
バランスが崩れることがない股関節と足首の柔軟性、強さがあるのであろう。

では、ラーム選手とジョンソン選手の切り返しでのグリップの位置が
違うのは、どうすることで動作として現れるのだろうか。
ラーム選手が、意図してコンパクトなバックスイングにしているのかは
解らないが、少年時代にベン・ホーガン氏の「モダンゴルフ」を見てゴルフ
を覚えたのではないかと推測する。

バックスイングでのグリップの位置を決めるのは、手や腕ではない。
両選手のバックスイング時での顔の向きに注目して頂きたい。
ジョンソン選手の正面からの動画を見ていると
スイングロボットの動きを見ているようである。
首が軸となって回転している。
ラーム選手はバックスイングで顔は回転していない。
一般ゴルファーの多くは、ジョンソン選手のように
バックスイングで顔が回転している。
バックスイングを気にする事によって起こる場合と、地面にボールが
あるゴルフスイングの自然な動きの特徴とも言える。
世界No.1のスイング動作にも一般ゴルファーと共通する部分があるが
理解なく取り入れても効果の程はしれている。

ジョンソン選手がラーム選手の様なフォワードスイングならば、スライス
から抜け出すことが出来ないだろう。
インパクト以降に両腕をコンパクトに動かすことで、グリップエンドの
動きを最小限に、速く動かすことでヘッドを加速させている。

更にセットアップの段階でも違いが見受けられる。
ラーム選手の動画内の解説でも言及しているが、ラーム選手はグリップが
最近の選手に多い、所謂フックグリップではない。
ジョンソン選手はフックグリップで、最近の選手があまり取り入れない
フォワードプレスを取り入れ、少し開き気味にして動き出している。
ジョンソン選手の動きは、再現性は高いがクラブヘッドの動きだけを
見れば複雑な動きなので、あまり参考にならないだろう。
ラーム選手は動きがシンプルだが、真似をすれば飛距離が出なくなる
可能性が高い。
両選手のドライビングディスタンスはあまり変わらないと思うが
飛ばしの要素は全く違う。
ラーム選手と似ている選手は、ラーム選手と同郷の先輩でアルバロ・キロス選手。
飛ばし屋として名を馳せたが、成績は低迷している。


A・キロス選手
非常にコンパクトなバックスイングで、ラーム選手のような手首の屈曲はない。
一般ゴルファーが真似しても飛距離は出ないだろう。
ラーム選手とキロス選手は、元々持っている瞬発力とシャフトのしなりを
理解して利用する能力に長けている点と手首の強さだろう。

そして、最後に取り上げたいのが日本の谷原秀人選手。
Japanツアーでは飛ばし屋であったが、今回のWGCではジョンソン選手に
30yard以上置いて行かれる場面が多かった。
しかし、谷原選手のスイング動作はジョンソン選手とラーム選手を合わせた
ようなスイング動作である。



スイング動作は、フォワードスイングでボールを飛ばしている感じで、
フォワードスイング時の左腕の使い方に特徴がある。
左肘を地面の方向には向けずに、クラブファイス面を変えないようにしている。
飛球や全体的な動作はラーム選手に似ているが、40歳となる年齢を考えれば
谷原選手の身体能力の高さが窺われる。

WGCマッチプレーでの勝利で、WGC全ての大会に勝利したジョンソン選手。
2008年にターニングストーン・リゾート選手権で初勝利を挙げて以来
毎シーズン勝利を重ねてきた。
因みにこの大会で、日本の今田竜二選手が3位に入っている。
この年のAT&TクラッシックでPGAツアー初勝利を達成したが
ジョンソン選手とは大きな差となってしまい大変残念でもある。

ジョンソン選手は毎シーズン勝利を挙げ、10シーズン連続勝利は
素晴らしく、T.ウッズ選手以来のPGAツアーを牽引する選手として
君臨することは誰しも認めるだろう。
T.ウッズ絶頂期を支えたコーチのブッチ・ハーモン氏に指導を
受けているのも偶然ではないかもしれない。
ブッチ氏はウッズ選手とジョンソン選手を比較して
ドライビングディスタンス、ボールストライキングは
ウッズ選手に引けを取らないがショートゲーム
が一番の課題だったと言う。

ショートゲームの巧者は、クラブフェイスを開いて使うのに
長けている。
バレステロス氏、ミケルソン選手、丸山茂樹プロなど手首の
使い方が柔らかくコントロール性が高い。
ウッズ選手も同じだ。
ジョンソン選手は、クラブフェイスを閉じてから開くタイプなので
上記の選手とは異なる。
D.デュバル氏と同じタイプである。
ただ、パッティングに関しては今後向上する可能性が高い。
パッティングのランキングは今シーズンを見ても現時点で
TOTALランクが131位であるから、この数字が上がれば無敵だろう。
又、ゴルフチャンネル解説者によるとジョンソン選手は、ケガなど
身体の不調の話を聞いた事がないと言う。
筋肉を肥大化させるウェイトトレーニングも実施していないらしい。
王者への条件が揃ってきたジョンソン選手。
メジャー2勝目はいつになるだろうか?!

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